皆さんこんにちは。先週、日本周産期・新生児学会に参加するために名古屋へ行ってまいりました。毎年日曜日~火曜日に開催される開業医泣かせの学会です。さすがに月曜日火曜日と休診にはできないので、月曜日に帰ってまいりました。

さて、妊娠糖尿病のシンポジウムを重点的にがっつり聴講してまいりました。妊娠糖尿病とは妊娠中に発生するいわゆる糖尿病みたいに血糖値が高くなってしまう状態で、妊娠中のお母さんでは主に分娩の時、そして赤ちゃんにもいろいろなリスクを与えてしまいます。そして日本では全妊婦の7~12%と増えてきているのです。

ところが、残念ながらこの妊娠糖尿病、世界共通の診断基準がありません。ないというよりも、妊娠中のどの時点でどのような検査をしてどのような血糖値であれば妊娠糖尿病とする!というのが世界でバラバラなのです。そもそも糖尿病はアジア人がなりやすいなど人種差があることも影響しているようです。ともあれ日本での診断基準は決まっていますので、私達に日本の産婦人科医はその基準を使って行います。でもどの国でも共通に妊娠糖尿病のリスク因子、なりやすい要素は決まっていて、その要素を持っている場合は精密検査なされているそうです。その要素とは、妊娠糖尿病になったことがある、家族に糖尿病の方がいる、巨大児(4000g以上)の児を出産した経験、肥満(BMI23または25以上)です。

一般的に妊娠糖尿病では分娩後に血糖値は正常に戻りおますが、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量が減っていたり、インスリンの感受性が低下したり(インスリン抵抗性が高い)していますのでのちに糖尿病になってしまうリスクは高いです。妊娠糖尿病になったことのある方は、定期的に血糖値を健診で見てもらった方がいいと思います。では皆さま、お元気でお過ごしください。