皆様こんにちは。
漢方薬の人参養栄湯にだけ特化したマニアな研究会が、神戸で開催されました。アンチエイジングにもつながる面白い内容でした。まとめを記載致します。
第4回 フレイル漢方薬理研究会学術集会
- 六君子湯は、食欲更新ホルモンであるグレリンの分泌を促進する。また、グレリンの活性を上昇させ、分解を抑制する。
- 人参養栄湯は抗炎症作用を有する生薬が多く入っている。
- 人参養栄湯に含まれている生薬の陳皮は、温州ミカンの皮であるが、オレキシン1受容体を活性化し、食欲を増加させる。
- 加齢によりグレリンの分泌が低下し、それによる食欲の低下からフレイルに進むといわれている。人参養栄湯による食欲不振の改善について動物実験がある。シスプラチン(抗がん剤)を投与した食欲不振モデルマウス(サルコペニアモデルマウス)に人参養栄湯を連日投与すると摂食と体重減少が良くなった。
- NPYニューロンは、摂食の促進・抑制の情報を統合する働きがある。人参養栄湯にはNPYニューロンを活性化する働きがある。また、動物実験では活動前に人参養栄湯を投与すると食欲が増進するという、サーカディアン食欲リズムを増強することが示された。
- 補中益気湯にはNK細胞を活性化させる作用がある。一方、十全大補湯と人参養栄湯にはマクロファージ、Tリンパ球を活性化させる作用がある。
- 骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)は、正常な状態ではマクロファージなどの免疫系の細胞群に分化しますが、がんになるとむしろ免疫系の細胞の働きを阻害する作用があることが知られています。十全大補湯と人参養栄湯には、近MDSCの分化を抑制する働きがあります。ネズミの動物実験では、十全大補湯が担がん状態のMDSCを減少させたとの報告があります。
- 大腸がん患者の手術前後に人参養栄湯を投与すると、術後の化学療法の完遂率が上昇したとの報告がった。副作用の軽減ができたのではと考察されていた。
- 間質性肺炎の患者に人参養栄湯を投与することにより、データの開園が認められた。
- 還暦になると、免疫力は本来の20%にまで低下し、疾患のリスクが増加する。加齢によりT細胞の老化・機能低下がおこり、続いてミトコンドリアの機能が低下し、感染しやすく、またワクチン応答不良となる。
- メトホルミン(糖尿病の薬)はミトコンドリア機能とオートファジーを回復させ、若いT細胞を作り、免疫老化を改善するとされている。
- 成長ホルモン、DHEA、メトホルミン併用投与1年間での若返り効果は2.5年で、その効果は持続するという。
- 人参養栄湯は、リンパ球低下を改善する。肺気腫を改善する。不眠を改善する。咳と痰など、COPDを伴う重症フレイル状態を改善する。
- 漢方の補剤は後期高齢者の呼吸器感染症を抑制する。
- ヒトの50歳~70歳に相当するラットに、30%のカロリー制限をしたところ、57%に加齢性変化の回復を認めた。
コロナ渦の中でもあり、免疫力を高めることについての議論もなされていました。非常に勉強になりました。
では皆様、お元気でお過ごしください。