皆様こんにちは。今日は前回の続きを綴らせていただきます。

胎児循環から考える胎児機能評価

  • 胎児は低い酸素飽和度で子宮内に存在している。Sat 60%くらいとのデータがある。
  • 胎児の左室と右室の圧は同じ程度である。
  • 胎児静脈管の血流波形において正常、途絶、逆流かどうかは胎児の予後予測に非常に有用である。
  • 子宮内胎児発育遅延児の状態の悪化はパルスドップラーによる動脈系→静脈系→胎児心拍陣痛図の順に出現する傾向がある。

子宮内膜症・子宮腺筋症における超音波診断と分類

  • 子宮内膜症性嚢胞にがんができていると、嚢胞内に隆起性病変が出現する。さらに超音波で嚢胞の内容がすりガラス様から黒色に変化する。
  • 子宮内膜症性嚢胞の悪性化を疑うポイントがいくつかあるが、日本での疫学研究の結果から、①隆起性病変の出現(多発、高さ1.5㎝超える、高さ/横幅=0.9以上、腹側壁に出現)した場合は怪しい。②短期間で増大(腫瘍壁の肥厚、内部黒い)した場合は怪しい。③CA125が上昇する場合は疑うが、40%は上昇しないので上がっていないから大丈夫とは言えない。④43歳以上であればリスクであるが、40歳以下でも25%で悪性化する。⑤9㎝以上の大きさはリスクではあるが、7㎝以下でも40%は悪性化のリスクがあるため大きさはあてにならない。
  • 子宮内膜症性嚢胞の外来管理指針として、①6か月ごとに嚢胞のサイズを測定する。②サイズが増大したら大きい病院に紹介。ただし、1㎝くらいであれば1~2か月後に再検査。③内容が黒色に変化したら大きい病院に紹介。④サイズに関わらず隆起性病変(高さ1.5㎝超える、高さ/横幅=0.9以上、腹側壁に出現)を認めた場合は造営MRI検査。⑤CA125はあてにならない。また、月経期には測定しない。


実際に、卵巣腫瘍の経過を見させて頂いているときに悩ましく思う時もあります。疑わしいときは早めにMRI検査をお勧めしようと思います。では皆様、お元気でお過ごしください。