先日の川崎市医師会新春賀詞交歓会の翌日、朝から熊本に飛んで日本性差医学会という、非常にニッチな学会に参加して参りました。
このような学会があることは知らなかったのですが、学会でたまたま知り合いの愛知医科大学教授の篠原先生のお話では、これまで薬の効果や副作用を調べる研究は主に男性に対して行われてきた。女性は生理周期でホルモンの値が変わりその影響が出ることや、万が一妊娠した場合に胎児が大丈夫か、が問題になるから。だが、それでは女性のデータないじゃん、という話になり、薬とか男女一緒でいいの?というすごく根本的な問題が解決してないことに医者が気づいた!とのことだそうで。女性は男性と違う、という観点から考えよう、という学会らしいです。でも、まあ、私は産婦人科だから女性しか診察しないわけで、男性はぶっちゃけあんまり…なわけで。で参加したら意外といいお話聞けました。
前述の愛知医科大学の篠原教授の講演は、女性ヘルスケア専門医が考える感染症、というお題でした。実は朝伺ったところ、最初は座長って言われてたのに、実は演者だったってオチです。
私も含めた女性ヘルスケア専門医が、感染症語るの、性差の学会で語るのキツくないですか?って聞いたら、いやマジきつい、スライド今朝までかかった!!(TT)。ですよねお疲れ様です
( T_T)\(^-^ )
でもやっぱすごい篠原教授!マザーキラーについてかなり踏み込んだエグいご講演。産婦人科の医者なんて10人くらいしか見当たらない、おそらく内科の先生が多いから、この次のスライドから少し激しい写真が出ますので苦手な方は目をつむっていてください、からの、子宮頚がんの写真。具体的にはずっと子宮頚がん検診を受けてなかった40から50代まさにお母さんの世代。世界では男性のHPVワクチン接種も推奨されてる、男女で予防のお話。
最近は生理痛にピルが保険適応になったから、コンドーム使わない人増えたのかなあって。そうかもしれないですよね。あの、生理痛に処方するピルと、避妊目的のピル同じだから生理痛にも避妊にも効果あるってみんな知ってるわけじゃないですか?!でも2ヶ月は飲まないと効果出ませんけど両方…だからHPVワクチン打ってなければうつるよね。キャッチアップ接種しようね、がメッセージの一つでした。
私のクリニックでも産後10年子宮頚がん検診してない、とか、以前他のクリニックで引っかかってて通院してたけど引っ越してどこ行っていいかわかんない、とか。
かつて大学でお子様、6歳と4歳と記憶してる、子宮頚がんの方が亡くなって。私研修医だったから、毎日お話聞くだけでしたけど、ずっと泣いていらっしゃいました。当時の薬、その方には全然効かなくて。他にも、子宮の入り口だけの手術のあと、早産になった人何十人もみてますけど、そんなこと本人前に言えないですよ。
HPVワクチン3回終わった方にはできるだけ言ってます。全部を防御するわけじゃないからね。必ずがん検診受けてね。
他にも、テレビのCMで最近しょっちゅうお見かけする吉形先生、リゾートトラスト、とある学会で一緒に事務的仕事をしてました、のご講演では、腟内にいる正常な細菌ラクトバシルス。ラクトバシルスが多いとHIV、HPVに感染しづらいそうです。ところが女性ホルモンの影響を受けるこのラクトバシルスは、閉経により減ってしまいます。腟内の細菌が変わります。閉経後子宮頚がんが増えるのはこれが原案かも??あくまでかも?という意見でした。
いずれにしても、HPVワクチン、川崎市はキャッチアップの期間は延長されてます。当院もワクチン予約受付中です。まだの方、家族でまだの方、ご連絡お待ちしております。では皆様、お元気でお過ごしください。