皆様こんにちは。
日本抗加齢医学会の雑誌に、蒲原先生が執筆された「COVID-19(新型コロナウイルス)対策としてのビタミンDの意義」という、記事が掲載されておりました。

非常に興味深い内容でしたので大事と思うところをいくつか記載させていただきます。

ビタミンDについて

  • ビタミンDは、ウイルス性の肺の感染症に対する免疫機能に重要な働きをしています。ビタミンDの不足や欠乏といった栄養状態の評価は血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を測定して行われます。一般的にに30ng/mL以上で「充足」、20~30ng/mLで「不足」、20ng/mL未満で「欠乏」と判定されます。以前のブログにも掲載しましたが、日本人女性はどの世代でも平均的に「不足」状態です。

ビタミンDとウイルスによる呼吸器(肺や気管支の)感染症(肺炎、気管支炎)

  • 多くの論文で、ビタミンDの値が低いと肺の感染症リスクが上昇し、市中肺炎のリスクも上昇したと報告されています。
  • 14,108人を対象にしたアメリカの研究では、ビタミンDが不足していると、ウイルス感染症にかかるリスクが上昇しました。
  • アメリカの臨床試験の結果について。長期療養施設の高齢者107人を対象に高用量のビタミンDサプリメントを摂取した集団(55人)と標準量を摂取した集団(52人)を比較すると、高用量を摂取した集団では肺の感染症にかかる確率が低下しました。
  • 東京慈恵会医科大学の臨床試験では、小学生を対象に、1日当たり1,200IUのビタミンDサプリメントを摂取することによって、季節性インフルエンザ(A型)にかかるリスクが42%減少しています。
  • 中国の臨床試験では、乳児がビタミンD(1,200IU)を摂取することでインフルエンザの症状が早期に回復しウイルスの量も速やかに減少しました。
  • 2019年のベトナムの臨床試験では、ビタミンDサプリメントの摂取によりインフルエンザを含むウイルス性の肺感染症にかかるリスクが19%減少しました。

ビタミンDと新型コロナウイルス感染について

  • ビタミンDの値が低いと新型コロナの感染や重症化の可能性が高まります。
  • 欧州20か国の研究では、ビタミンDの値が低いと新型コロナにかかる確率、死亡する確率が増えることがわかった。また、この研究では高齢者のビタミンDの値が著明に低い値でした。
  • アメリカの研究では、ビタミンD欠乏状態であると新型コロナが陽性となる可能性が1.77倍になるとの結果が出ています。
  • 同様に、イギリスでもビタミンDが欠乏状態であると、新型コロナ重症化の可能性が高くなると報告されています。
  • また、新型コロナ感染で亡くなった患者では、ビタミンDの値が低かったことが分かっています。
  • インドネシアの研究。新型コロナ感染患者780人の死亡率が、ビタミンDが充足している患者では4.1%であったのに対して、欠乏(不足よりさらに少ない)状態では98.9%に達していた。また、ビタミンDの血中濃度が30ng/mL以上であれば死亡率が低い傾向でした。
  • 現在、新型コロナの重症化は、血管の細胞が障害されることで炎症、血栓(小さい血の塊)ができ、多くの臓器を傷害する(多臓器不全)ことによると考えられている。ビタミンDには抗炎症作用があり、動物実験で肺炎などの抑制効果が示されています。

    ビタミンDはヒトは日光により合成できますが、季節や場所、日照時間によって合成できる量が異なります。日焼けを避け美白を好む風潮や、巣ごもりをせがまれている今の状況では、十分なビタミンDの得るためには、食事やサプリでの摂取が一番良いと思われます。
    では皆様、お元気でお過ごしください。