皆様こんにちは。女性とスポーツ医学についての講演がありましたのでまとめました。

これからの女性スポーツ医学を考える

  • 女性アスリートの健康上の問題となるのは、利用可能エネルギー不足、骨粗鬆症、運動性無月経である。エネルギーが不足すると、低エストロゲンの状態になってしまいパフォーマンスにも影響を及ぼす。また、現役中に月経異常があると、引退後に不妊治療を行う確率が高くなっている。
  • 女性アスリートで無月経がある場合、年間に骨密度は2~3%低下する。したがって、女性アスリートに関しては、10代からの骨密度への介入が必要である。
  • 女性アスリートでは10代後半から20代にかけて、5人に1人は摂食障害がある。拒食だけでなく過食のパターンもある。
  • 東大病院の調査によると、女性アスリートの利用可能エネルギー不足による無月経の割合は12%である。
  • 女性アスリートの利用可能エネルギー不足のスクリーニングとして①BMI17.5以下②標準体重の85%以下③1ヵ月の体重減少が10%以上となってしまっているかを評価する。
  • 女性アスリートの骨密度を評価する際に用いるのはZスコア
  • 女性アスリートに使用できる薬品として、ビタミンDとエストロゲン製剤は大丈夫。ビスホスホネートは今後の妊娠・出産に対して安全性が不明である。また、SERMやテストステロンはドーピングとして禁止されている。
  • ホルモン補充療法によって不足エネルギーの補充や骨密度を増加させるといった科学的根拠はないのでホルモン補充療法は、治療の第一選択にはならない。利用可能エネルギー不足を改善してなお、黄体ホルモンが改善しない、月経が回復しない、低骨量・骨粗鬆症の場合にホルモン補充療法を開始する。
  • 利用可能エネルギー不足の状態による無月経の治療にOC・LEPといったホルモン補充療法が第一選択とならない理由として、①自然に月経が再開したのかどうか評価できない②排卵抑制による黄体ホルモンの抑制で、栄養状態改善の指標がわからなくなる③副作用の体重増加が出現する可能性、がある
  • 女性アスリートに体重減少性の無月経を説明する際のポイントは、①パフォーマンスの低下になりうる②将来の骨や妊娠に影響を及ぼす③体重を増やしなさいとは言わないほうがベター
  • ホルモン補充療法(OC・LEP)が運動に及ぼす影響・・対象となるのは月経困難症、月経前症候群、月経調節を必要とする女性アスリートである。有酸素運動性作業能力は、使用と非使用で差はなかった。ジャンプ能力の使用による低下は認めない。総合的にこれまでに運動パフォーマンスによる差はない。しかし、今後は長期的な使用による影響や、各種競技に特化した検討が必要である。
  • 日本代表として出場している女性アスリートのOC・LEP(いわゆるピル)使用率は、2012年のロンドンオリンピックで7%、2016年のリオオリンピックで27.4%であった。一方で、U.K.やデンマーク、U.S.Aでは50%ぐらいの使用率である。
  • OC・LEP(いわゆるピル)の使用による過度な体重増加はない。
    コロナが収束して、オリンピックが無事に開催され、日本の女性アスリートが大活躍する姿が見れますように、祈っております。
    では皆様、お元気でお過ごしください