皆様こんにちは。9月3日と4日にWeb での開催ではありましたが日本女性栄養・代謝学会がありました。
学会は、非常に勉強になるのですが、ただ聞いているとすぐに忘れてしまうので、できるだけ記録に残すようにしています。
勉強したことを記載してまいりますので、情報を皆様と共有できましたら幸いです。

シンポジウム1:母体と栄養

  • 胎児の低栄養状態では出生体重が低下するが、低出生体重児(2500g以下)で軽いほど子供の将来の糖尿病、高血圧、冠動脈疾患、肥満リスクは上昇する。
  • 出生前後の環境により、低出生体重で生まれた児の将来的な生殖機能に及ぼす影響として、性成熟が遅延し月経不順のリスクが高まる。また、結婚率が低く、生児獲得率の低下、不妊症のリスクが高くなる。
  • ネズミの実験において、胎生期の低栄養は出生後に栄養を補充しても生殖機能や生殖行動(興味や意欲)の低下は改善しなかった。
  • 日本人において、現在妊娠中の女性の栄養摂取量は足りていない。適切な栄養の摂取と体重管理が重要である。
  • 成人病胎児期発症学説(DOHaD : Developmental Origin of Health and Disease)とは、胎児期、乳幼児期の望ましくない環境がエピゲノム変化を起こし、それが疾病素因となり出生後の環境との相互作用によって疾病が発症する、という学説である。すなわち、胎児期の栄養が出生後に影響する、ということである。
  • 日本人、41歳から69歳、1241人の低出生体重で生まれた方を調べたところ、女性では血圧が高く、男性ではコレステロールが高いという結果であった。
  • 骨組織を作るビタミンDが妊娠中に不足していると子宮内胎児発育遅滞、妊娠糖尿病の原因となる。
  • ビタミンDは免疫細胞、NK細胞の毒性を低下させる。原因不明の不育症患者のNK細胞活性は高いことから、ビタミンDが少ないことが予測できる。
  • 原因不明の不育症の患者では、ビタミンDを測定して低い場合には補充する必要がある。
  • 妊娠前からのビタミンD摂取が妊娠率、生児獲得率に優位に働く。
  • 2020年の論文で、ビタミンDの摂取が不足している日本人女性は実に70.7%に及ぶ。妊娠前からのビタミンD摂取が大事である。

今日はここまで。では皆様、お元気でお過ごしください。